平素より私ども企業グループを支えていただいている株主・投資家の皆さまの温かいご理解とご支援を心より感謝申し上げます。
この春、わが国の政治・経済動向に少なくない影響を与える米国の政策に着目すべき変化が生じました。米国通商代表部(USTR)が毎年春に発表する「スペシャル301条報告書(知的財産権の保護・執行に関する年次報告書)」において、日本の薬価基準制度の一部(毎年薬価改定や市場拡大再算定など)が、「革新的な医薬品の価値を過小評価し、不透明な不利益を与えている」として、知的財産権保護および市場アクセスの観点から「繰り返し」「名指し」で問題視されたことであります。詳細については文末の参考資料に譲りますが、特許(知的財産権)によって一定期間の独占と利益獲得が認められている新薬に対し、政府が「中間年改定(実質的な毎年改定)」や「市場が予測以上に拡大したから」という理由で薬価を引き下げることは、「特許がもたらすべき正当な価値を実質的に侵害し、市場アクセスを阻害している非関税障壁である」と指摘されました。
トランプ大統領は第一期政権時から、「日本や欧州が政策的に薬価を安く抑えることで、米国の患者や企業が医薬品研究開発費を不当に肩代わりさせられている」との不満を表明しており、これが米国貧困層向け公的医療保険であるメディケイドにおける医薬品給付価格の新たな国際価格参照モデル「GENEROUS※」の導入の動機ともなっています。
この制度が米国内の医療保険市場に波及すれば、グローバルファーマ(特に米国大手製薬企業)からすれば「日本で新薬を上市して安く販売されると、最大の収益源である米国での利益まで連動して削られてしまう」という事態になりかねません。結果として、事業リスクを避けるため「新薬を日本で最初から発売しない(若しくは日本市場への投入を後回しにする)」というドラッグ・ロスが深刻化するリスクが指摘されています。わが国の社会保障政策への本件の影響は避けられないのではないでしょうか。
さて、我が国は人類が経験したことのない超高齢社会を迎えます。保健・医療・介護・福祉を地域ごとに統合する地域包括ケアシステムの構築が国策として推進されているところであります。
国立社会保障・人口問題研究所によると、2023年度の社会保障給付費の総額は135兆4,928億円であり、前年度と比べ2兆6,809億円、1.9%の減少となりました。対GDP比は22.76%であり、前年度に比べ1.59%ポイント減少しています。人口一人当たりの社会保障給付費は108万9,600円であり、前年度に比べ1万6,300円、1.5%の減少となりました。
この社会保障給付費を「医療」、「年金」、「福祉その他」に分類して部門別にみると、「医療」が45兆5,799億円(総額に占める割合は33.6%)、「年金」が56兆3,936億円(同 41.6%)、「福祉その他」が33兆5,192億円(同 24.7%)となりました。前年比で「医療」は3兆1,890億円減少(6.5%減)、「年金」は6,029億円増加(1.1%増)、「福祉その他」は948億円減少(0.3%減)しています。「医療」は新型コロナウイルス感染症対策に係る費用の減少が大きく影響しました。
また社会保障給付費の対GDP比は、2018年度の21.5%(名目額121.3兆円)から、2025年度に21.7~21.8%(同140.2~140.6兆円)となります。その後15年間で2.1~2.2%ポイント上昇し、2040年度には23.8~24.0%(同188.2~190.0兆円)となる見通しです。
名目経済成長率が3%を超える経済成長実現ケースでも、社会保障給付費の対GDP比は概ね同様の傾向で増加するのですが、2040年度で比較すると成長率が2%台半ばのベースラインケースに比べて、1%ポイント程度低い水準(対GDP比22.6~23.2%(名目額210.8~215.8兆円))に留まります(「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省)。
この成長著しい社会保障関連事業という市場に特化した事業ポートフォーリオをTSUMUGU HOLDINGSは有しています。医薬品卸売、医療機器卸売、薬局、介護、ICT(情報通信技術)の主要5分野の事業であります。2025年に地域包括ケアシステムを完成させることは国策でありました。これは2008年の国による研究開始以来、団塊の世代が75歳を迎えた「2025年」を第一のターゲットとして整備されてまいりました。医療・介護から、生活支援、予防、住まいに至る5つの基盤を整備し、住民の選択を尊重するこの取り組みは、現在、退院直後のリハビリの空白を埋める「連携の質」が問われるフェーズに入っております。これまでの政策成果として、医療・介護従事者の確保、がん死亡率の低下に加え、年齢別の要介護認定率が減少するなど、若年シニア層の健康指標は大幅に改善いたしました。
しかし、ここからが地域包括ケアシステム「第二ステージ」への転換点となります。
健康寿命が延びた結果として、今後はさらに年齢の高い「超高齢者層」の医療・介護ニーズが爆発的に増加してまいります。例えば認知症への総合対応(医療・生活・就労)や、股関節骨折や誤嚥性肺炎などの予防可能な急性期イベントに対し、栄養・口腔ケア・嚥下管理・環境整備などを強化する必要性の高まり等です。
つまり「ゴール」は静止しておらず、社会保障に関する政策目標は先へ先へと動き続けます。よって私たちにも常に進化し続けるビジネスモデルが求められています。政策の主戦場は「85歳、さらには90歳」へと移行しており、国が掲げる次なる節目は「2040年」へと設定されました。
この2040年に向けた環境変化を、私たちはむしろ事業機会と捉えます。地域包括ケアシステムにおいては保健・医療・介護・福祉が切れ目なく連携して地域の住民へ必要なサービスを提供することになっています。TSUMUGU HOLDINGSはグループ内企業の垣根を取り去り、地域の実状に同期するよう切れ目のないサービス・商品を提供してまいります。私たちTSUMUGU HOLDINGSは「地域包括ヘルスケア企業グループ(Community-Based Integrated Healthcare Corporate Group)」として企業価値向上へ向けて不断の努力を続けてまいります。
今後とも皆さまの変わらぬご支援を賜りますよう衷心からお願い申し上げます。
株式会社TSUMUGU HOLDINGS
代表取締役社長 眞鍋雅信
トピック(2026年3月期)
地域包括ケアシステムの深化と新社名「TSUMUGU HOLDINGS」へ
当社グループは、超高齢社会の進展を見据え、地域包括ケアシステムの深化に向けた体制整備を推進しております。
医薬品卸売事業の株式会社ほくやくは、2026年2月に旭川支店を新築移転いたしました。
GDP(医薬品の適正流通ガイドライン)に準拠した最先端の設備や、災害時にも稼働可能な自家発電の導入に加えて、倉庫スペースを約1.5倍に拡大するなど、上川地区の医療を支える基盤機能の強化を進めております。
介護事業の株式会社マルベリーは、2025年11月に「さわやかセンター室蘭登別」を新築・拡大移転いたしました。
福祉用具を実際に見て・触れて・体験できる相談機能を強化し、多様化する地域の介護ニーズにより的確に応える体制を構築しております。
私たちはTSUMUGU HOLDINGSへ
当社は2026年9月29日に設立20周年を迎えました。この節目を次なる成長ステージへの飛躍の好機と捉え、「第二の創業」として、商号を「株式会社TSUMUGU HOLDINGS(つむぐホールディングス)」へ変更いたしました。
新社名のもと、医薬品卸売、医療機器卸売、薬局、介護、ICTの各事業間の連携をいっそう強固にし、「健やかな地域社会の実現」と「地域包括ケアシステムのさらなる深化」に貢献してまいります。